おれはもうおなかすいた(@複業薬剤師)
就活に悩めるADHDの学生さんたち。数年前、ぼくもそうだった。当時はADHDとも知らずに就活していたが、ADHDの特性は就活に悪影響を及ぼした。
だけど、それでも今イキイキとした仕事人生を送っている。ぼくがなぜ就活に失敗したのに、イキイキとしているのか……その理由はシンプルで採用された企業にて、作業ではなく「仕事」をしたからだ。
初めての就活はADHDらしさをフルで発揮した
ぼくが初めて就活をしたのは大学3年生の冬。
日本テレビの面接から、ぼくの就活は始まった。
とにかく薬学や医療関連からは足を洗おうと思っていたぼくは、文系の学生と同じような就活をした。
文系の学生と同じようにエントリーシートを書き、1次面接、2次面接、3次面接、役員面接、最終面接に挑む……製薬企業を受ける薬学生であれば、このステップは通る道だが、企業など眼中になく病院や薬局が選択肢である薬学生はこの道は通らない。
みんなと同じが嫌とかなんとなく薬学生活に違和感を感じていた、という理由だけでいばらの道に迷い込む。
就活をする学生は、いわゆる就活対策をする。企業の面接に向かって、想定される質問に対するQAを考えるわけだ。
ぼくはまず、ここでつまずいた。
小学校、中学校、高校、大学とステップを踏んできて、就活は初めて敷かれたレールが外れる場だ。
受験勉強なんてものは、答えが決まっていて、それをいかに覚えてアウトプットするかの勝負。試験当日のコンディションや運の要素は一定数あるものの、基本的には努力が反映されるものだ。
だが、就活は違う。
まず答えがない。企業の面接を受けても、面接の質問に対する答えはない。それなのに、面接対策本は、あたかもこれが答えだよ、こういう風に答えようよというものを強要する。
自分はまずこの就活対策が受け入れられなかった。
結局は、どのような答えでも論理的に話せるか?を企業はみているのかもしれない。でも企業ソルジャーを必要とする伝統的な企業などは、特に理想的な回答があるはずだ。
主体性を求めるものの、実業務では主体性を持たれたら困るのだ。指示に従ってくれないと。だから、企業が求める回答に沿う、理想的な回答が就活対策本には書いてあるのだと思う。その理想的な回答をしっかりと述べられるかが、伝統的な企業に就職する上で大切なことだ。
そんな就活本をみたときに、ぼくは違和感しか感じなかった。そして、ここに書いてあることを面接で答えられないやと思った。バカみたい!やーめた!っと思った。
あとぼくは頑張ったことがないのに、頑張ったことを作り上げてアピールするというのもなんか違うと思ったのだ。
じゃあどうするか?ぼくはぼくでいいと思った。
恐らくこれがADHDの特性をはじめて全開で発揮した行事、a.k.a就活だと記憶している。
学生生活でがんばったことを聞かれても、そんなものは特になく、毎日腹筋を100回することくらいしか思い浮かばなかったので、真剣に腹筋についてを答えた。エントリーシートにも、腹筋について記入した。
初めての就活……内定先は学歴採用だったと思う
当然、学生生活の4年間で、一番がんばったことが「毎日の腹筋100回」、なんて書いている就活生は全然相手にされなかった。
運よくエントリーシートを突破して、面接までたどり着けたのが、日本テレビとフジテレビ、そして最初の就職先となる地元企業だ。
日本テレビは2次面接にてアウト!
フジテレビは1次面接にてアウト!
地元企業は採用!
こんな結果だ。
関係ないけど、フジテレビの球体の中に入れたこと、面接官が境鶴丸さんだったことがうれしかったんだよね。
で、ぼくは20〜30社くらいエントリーしたけど、企業からはいわゆる伝説のお祈りメールが届くばかり。
業界は、製薬、マスコミ、化粧品、アパレルだ。
こういう、いわゆるお祈りメールを何社からもいただいた。
ADHDの特性と性格のフルコンボ全開で就活はことごとく失敗した。ADHDでも企業に就職している人はいるので、この辺の就活や就職の話なんかは他のADHDの人にも是非聞いてみたい。
ぼくの就活スタイルの特徴は、おれはおれスタイル。ありのままのおれを受け入れてくれるところで働こうと思ったので、いわゆる就活スタイルもしなかった。
就職するための面接対策本なんて一切読まなかったし、見た目も就活始めようと思ったときにそうだったロン毛スタイルで臨んだ。後に就職することになる地元企業では、すごい新人が来たと噂されたが、逆にみんなの印象に残って全くマイナスにはならなかったんだが。
ぼくは最終的に地元の企業に内定をいただいたが……これは完全に学歴からのポテンシャル採用だと思う。
学歴なんかいらない!にぼくは賛成だけど、選択肢を増やすという意味では学歴はまだまだ大事だ。
さらに偏差値も自分は嫌いだけど、偏差値で人を判断する人は一定数は必ずいる。だから、偏差値を高めるようと努力して損することはない。
地方が地元なら初めての就職は地元企業を視野にいれる
人間力で勝負できない場合、学歴だけで地方の企業はすんなり入れる場合があると思う。
ぼくはなんとなくカッコイイという理由で、有名企業ばかり受けていたけど全滅した。ファッションとおしゃれが好きだという少しまともな理由で受けたアパレルもことごとく落ちた。
就活はやはり学生時代に何もしてないADHDにとっては鬼門のように思う。語れるものがあれば、ADHDでも就活は特に問題ないはずだ。
部活にハマっちゃうとか、海外にハマっちゃうとか……どんな経験でもいいけど、主体的にハマる経験をしていればADHDでも就活は問題ないと思う。
なぜなら面接で語れるから。
仕事と作業の違いの記事でも話してるけど、主体的に動けると何も考えなくても「ああしたい」、「こうしたい」が勝手にでてくるので語れるんだよね。この語れるものがあるか?が就活にしても就職してから社会で生きやすくなるためにも大切だ。
語れるものの作り方は主体的に動く経験。どんなにお勉強しても得られない。そのヒントはこの記事を読んでみて欲しい。
で、ぼくのように家と学校を往復。とっとと帰って16:30〜0:00までずっとテレビをみる生活を4年間送る……こんな生産性のない学生生活を送ってしまったADHD学生にとって、就活は地獄だ。
面接で語るものもなく、さらにはADHD特有の特性を発揮して面接本に書いてあることも受け入れられない……こうなるともう選択肢がないに等しい。
でも、就職してから10年以上経験した今思うのは、最初に勤める企業なんてどこでもイイということだ。
ぼくがそうだったけど、なんとなくで入った就職先でも、そこで主体的に動く経験さえできれば問題ない。
だから就活で悩んでいる、ADHDの学生はとりあえず自分を受け入れてくれるとこを探してみよう。
地方出身であれば、地元企業に目を向けるのが、自分の経験としておすすめだ。
主体的に動く経験ができればADHDでも就活も転職も怖くない
正直、文系学生のような就活の経験をしたことはよかったと思う。
まず就活をとおして、なんて自分は自我がないんだろうということに気づけた。
ぼくはやりたいことが何もなかった。やりたいことどころか、興味のあることも特にない。むしろ働きたい意欲は全くなく、働きたくないという本を愛読していたような人間だ。
就活でその事実に気づけたことが、なによりもよかった。後にその原因は、あまりにもいろいろなことを経験しなかったからだと気づいた。
自分というものは見つけるものではなく、自分で創っていくものなんだと。
だから、学生時代になんでもイイけど主体的に動く経験をしている学生は、ADHDでも面接で語るものがあるはずなので、大丈夫だろう。
もし、ぼくのように学生時代に何もしなかったADHDの学生は、とりあえず就活で採用してくれるとこに入ってみる。そして、就職したところで主体的に「仕事」をする。作業ではなく、仕事だ。
指示に従ってこなすのが作業。仕事は、自分の頭で工夫を考えて行動することだ。
あれだけ無の学生生活を送り、就活もボロボロだった自分も、とりあえず就職した企業で主体的に仕事をしたことで、語れるものができた。
この語れるものさえできれば、あとは転職するなり新しく仕事をするなり、選択肢が増えてくる。
だからもう一度言うよ?作業と仕事の違いがイマイチわかんない!そんな就活生のあなたはこちらの記事を読んでお勉強してみて欲しい。
仕事を通して語るものができれば視野が広がり仕事の選択肢が広がる
ぼくは今、在宅専門の薬局で働いているが、薬剤師の仕事以外に他にも仕事をしている。
でもこれは、全部前職で「仕事」をして、語れるものを身につけた結果だ。
あれだけ就活に失敗して、自分は語れるものがない、考える力もないと思っていたけど、全部仕事を通して学ぶことができた。
だから、今の無力さを気にしているADHDの学生さんも大丈夫。
就活を通して、まずは自分の無力さを知る。そして、そんな中でも採用された企業にまずは就職し仕事をしてみる。シンプルだけど、それだけで視野は広がる。
実際ぼくは、最初の就職先を辞めてから、DeNAという大企業から業務委託という形で仕事をもらえた。
働き方が多様化している今、昔以上に仕事の選択肢は増えている。
就活に悩んでいるADHDの学生さんは、とりあえずどこでもいいから就職をして、そこで仕事をするのがおすすめだ。
終身雇用と年功序列が崩壊した今、就活はゴールではなく、はじまりに過ぎない。だから、最初の就職先なんてどこでもイイとぼくは思う。
就活はADHDだろうがADHDじゃなかろうがみんなと戦わなくてはならない。そんな就活が不安なら、発達障害の人に特化した下記のような就職支援サービスを使うて手もある。
東京と大阪に通わなくてはならないが、時間のある学生時代。就活中に就職に対して不安を抱えているなら試してみて損はない。
おれはもうねむい。